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インスリン療法中の抗インスリン抗体出現による低血糖

2019年2月掲載

薬剤 インスリンアスパルトホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
インスリンデテミルホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 抗インスリン抗体出現、低血糖
概要 74 歳、女性。12 年前にインスリン強化療法が導入された。最近はインスリンアスパルト(Asp)、インスリンデテミルによる強化療法に加え、αグルコシダーゼ阻害薬、DPP4 阻害薬内服にてHbA1c 7%台で推移していたが、今年7月頃より早朝に低血糖を頻回に認めるようになった。内服薬とインスリンデテミルは中止し、Asp 朝・昼食前3単位のみとしたが改善がないため当院紹介となった。インスリン投与量は変更せず持続血糖モニタリング(CGM)を施行し、深夜から早朝へかけての急激な血糖降下を確認した。原因精査のため測定した抗インスリン抗体は、濃度5000 NU/mL以上、結合率86.7%であった。

監修者コメント

外来性のインスリンに対して、インスリン自己免疫症候群様の低親和性・高結合能の抗体が出現することにより、早朝の抗体解離に伴う低血糖、日中は逆に高血糖を呈する症例が報告されている。本症例においても、インスリン療法中に低親和性・高結合能のインスリン抗体を認めており、早朝低血糖の原因と考えられた。外来性のインスリンにより抗体が惹起され、血糖値異常を生じる可能性があることを念頭に置き、安易なインスリンの使用は可能な限り控える必要がある。

著者(発表者)
東陽一郎ほか
所属施設名
千葉中央メディカルセンター糖尿病センター
表題(演題)
インスリン療法中に抗インスリン抗体が出現し早朝低血糖の原因と考えられた2型糖尿病症例
雑誌名(学会名)
糖尿病 61(9) 639 (2018.9)
第54回 日本糖尿病学会関東甲信越地方会 (2017.1.21)

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