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アセトアミノフェンによる急性尿細管間質性腎炎

2019年1月掲載

薬剤 アセトアミノフェン中枢神経用薬
副作用 急性尿細管間質性腎炎
概要 6歳、男児。2週間前から発熱、四肢の紅斑が出現し、2病日に下痢も伴っていた。セフニジルとアセトアミノフェン(カロナール細粒®)内服で改善したが、7病日に再度発熱し、以降、アセトアミノフェンを頻回に内服していた。アセトアミノフェンは180~200 mg/回の量で1日3~5回ほど内服することがあったが、1日最大量は適応範囲内であった。連日の投与でも解熱せず、12病日にCre 1.81 mg/dLと腎機能障害を認め、徐々に尿量も減少したため、14病日に転院となった。
血液・尿検査から、急性腎障害、非欠尿性腎不全の状態を認め、尿細管障害が示唆された。16病日の血清抗Yersinia pseudotuberculosis(Yp)抗体価(4群)が優位に上昇し、またリンパ球刺激試験でアセトアミノフェンが陽性となったことから、Yp感染症とアセトアミノフェンの両者による急性尿細管間質性腎炎と診断された。全身状態が良好であったため、薬剤の中止と輸液のみで経過観察となり、腎機能も自然軽快し、23病日に退院となった。

監修者コメント

急性尿細管間質性腎炎は、組織学的に腎臓の間質および尿細管を主体とした病変であり、多くは薬剤や感染症が原因となり発症する。本症例は、臨床経過や検査データなどから、Yp感染症とアセトアミノフェンの両者が原因と考えられた興味深い一例である。アセトアミノフェンは特に小児領域において頻用されている薬剤であり、本薬剤の内服中に腎障害などを認めた場合には、本合併症も考慮し、適切な対応を行う必要がある。

著者(発表者)
浦田啓陽ほか
所属施設名
愛媛大学医学部附属病院小児科
表題(演題)
Yersinia pseudotuberculosis感染とアセトアミノフェンによると考えられる急性尿細管間質性腎炎の1小児例
雑誌名(学会名)
日本小児腎不全学会雑誌 38 221-225 (2018.7)

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