アドレナリンによる一側性瞳孔散大
2019年1月掲載
薬剤 | アドレナリンホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) |
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副作用 | 一側性瞳孔散大 |
概要 | 77歳、男性。大動脈弁狭窄症及び閉塞性肥大型心筋症に対して大動脈弁置換術と心室中隔筋切除を施行された。術前に抗血栓薬の内服はなかったが、腎摘出や高血圧、慢性腎不全、慢性C型肝炎、肝細胞癌などの既往を有し、易出血性であった。手術終了時、咽頭温度プローベ挿入側に鼻出血を認め、希釈アドレナリンとリドカインガーゼで鼻腔パッキングを行った。1.5時間後同側の瞳孔が散大し、対光反射が消失した。術前2ヵ月前に転倒による外傷性くも膜下出血を起こし、術前より軽度のmidline shiftと硬膜下水腫を有していたが、緊急脳CTでは変化はなく、眼科的異常も認めなかった。患者は神経学的異常もなく覚醒し、術後12時間で瞳孔不同は消失した。 |
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本症例は開心術直後の鼻出血処置後に一側性瞳孔散大を呈した稀な一例である。緊急頭部CT検査などでは異常なく、ガーゼパッキングに用いた散瞳効果のある希釈アドレナリンが、鼻腔内圧上昇や臥位による重力の影響で鼻涙管内を逆流して発症したと考えられている。重症症例に瞳孔不同を認めた場合、神経眼科学的緊急状態として対処しなければならないが、本症例のような薬剤性による可能性も念頭に置く必要がある。
- 著者(発表者)
- 大野英昭
- 所属施設名
- 医療法人社団日高会日高病院心臓血管外科
- 表題(演題)
- 開心術直後の鼻出血処置後に一側性瞳孔散大を呈した透析症例
- 雑誌名(学会名)
- ICUとCCU 42(6) 393-397 (2018.6)
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