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セルトラリン塩酸塩による薬剤性パーキンソニズム

2013年10月掲載

薬剤 セルトラリン塩酸塩中枢神経用薬
副作用 薬剤性パーキンソニズム
概要 70歳、男性。うつ病の診断でセルトラリン塩酸塩 25mgを開始、75mgまで増量し、抑うつ症状は軽快した。その後、振戦、筋固縮などのパーキンソニズムが出現したため、セルトラリン塩酸塩を50mgに減量し、パーキンソニズムは軽減した。約5ヵ月後に誘因なくうつ病が再発したため、セルトラリン塩酸塩を75mgまで増量したところ、パーキンソニズムが増悪して体動困難となった。日常生活も困難なレベルとなり、当科に入院となった。入院後2週間かけてセルトラリン塩酸塩を漸減中止した。第22病日には軽度の手指振戦、筋固縮は残存するものの改善傾向であり、その後退院となった。

監修者コメント

薬剤性パーキンソニズムの原因薬剤として、主に抗精神病薬が挙げられるが、本文献では選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるセルトラリン塩酸塩(ジェイゾロフト®)による薬剤性パーキンソニズムを報告している。SSRIがセロトニン濃度を増加させることにより5-HT2A受容体がセロトニンで占拠され、ドパミン遊離の抑制が起こり、その結果パーキンソニズムが出現すると考察している。SSRIによる薬剤性パーキンソニズムは比較的まれな副作用ではあるものの、症例報告が散見されており、使用時には注意する必要がある。

著者(発表者)
三舩義博ほか
所属施設名
医療法人社団三愛会三船病院ほか
表題(演題)
Sertralineにより薬剤性パーキンソニズムを呈したうつ病の1症例
雑誌名(学会名)
精神医学 55(7) 663-666 (2013.7)

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