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癌化学療法中の難治性続発性気胸

2018年12月掲載

薬剤 カルボプラチン腫瘍用薬
ペメトレキセド腫瘍用薬
ベバシズマブ腫瘍用薬
ニボルマブ腫瘍用薬
副作用 難治性続発性気胸
概要 70歳代、男性。右肺下葉原発の進行肺腺癌に対して、1次治療としてcarboplatin + pemetrexed + bevacizumab療法を計6コース施行した。経過中に腫瘍内部に空洞が出現し、徐々に増大した。Pemetrexed単剤による維持療法に変更したが、CT検査で腫瘍の増大を認めたため、2次治療としてnivolumab療法を開始した。投与後10日目に右気胸を発症し緊急入院した。タルクによる胸膜癒着術を2度試みたが奏効しなかったため、EWS®(Endobronchial Watanabe Spigot)留置を行った。EWSにポリグリコール酸不織布(ネオベール®)を縫着し、ガイドワイヤー下に中間気管支幹へ留置した。処置後より気漏は停止したため、OK-432による胸膜癒着術を施行し、気胸は治癒した。

監修者コメント

肺癌に対する化学療法中に発症した続発性気胸は一般的に難治性であり、内視鏡的に充填剤を気管支に詰め込む気管支充填療法が行われることがある。EWS®は Watanabe らによって開発されたシリコン性の充填剤であり、これまでの充填剤の欠点であった確実性、持続性を補っており、近年その使用報告例が増加している。本症例では、さらにポリグリコール酸不織布を縫着したEWS®をガイドワイヤー下で留置することで、より確実で強固に充填出来たことが報告されている。難治性続発性気胸において、特に太い気管支を確実に塞栓するためには、本症例で用いた方法は有用であると考えられる。

著者(発表者)
松本大資ほか
所属施設名
徳島県立中央病院外科ほか
表題(演題)
ガイドワイヤー下にポリグリコール酸不織布縫着EWS留置を施行した難治性続発性気胸の1例
雑誌名(学会名)
気管支学 40(3) 246-250 (2018.5)
第42回 日本外科系連合学会学術集会

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