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ダビガトランエテキシラートによる薬剤性好酸球性肺炎

2013年10月掲載

薬剤 ダビガトランエテキシラート血液・体液用薬
副作用 薬剤性好酸球性肺炎
概要 81歳、男性。心房細動、高血圧、糖尿病のため近医を定期受診し、カルベジロール、エホニジピン塩酸塩の処方を受けていた。心房細動に対してダビガトランエテキシラートを投与されてから咳嗽、喀痰を認め、胸部X線写真にて浸潤影を指摘された。肺炎として抗菌薬の投与を受けたが、臨床症状、画像所見とも改善が認められなかったため当科受診し、入院となった。第2病日に気管支肺胞洗浄を行ったところ、洗浄液中の好酸球分画が40%と上昇しており、ダビガトランエテキシラートによる薬剤性好酸球性肺炎と診断した。ダビガトランエテキシラートを中止し経過観察したところ、ステロイド薬は使用せずに呼吸状態、胸部異常陰影は次第に改善した。

監修者コメント

ダビガトランエテキシラート(プラザキサ®)はワーファリンと比べて非弁膜症性心房細動患者における血栓症の発症を有意に抑制するとして、循環器、神経領域での使用頻度が高まっている。本症例はダビガトランエテキシラート内服から約2週間後に肺障害を発症し、肺胞洗浄液中の好酸球分画が40%以上と上昇していたことなどから、同薬剤による薬剤性好酸球性肺炎と診断された。ダビガトランエテキシラートによる薬剤性好酸球性肺炎の報告は稀であるが、使用時には肺障害発生の可能性についても留意すべきである。

著者(発表者)
藤田総文ほか
所属施設名
静岡市立清水病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
ダビガトランエテキシラートによる薬剤性好酸球性肺炎の1例
雑誌名(学会名)
日本呼吸器学会誌 2(4) 414-418 (2013.7)
第101回 日本呼吸器学会東海地方会

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