せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > OTCの総合感冒薬に含まれるジヒドロコデインによるオピオイド中毒

OTCの総合感冒薬に含まれるジヒドロコデインによるオピオイド中毒

2018年12月掲載

薬剤 ジヒドロコデイン一般用医薬品
副作用 オピオイド中毒
概要 4歳、女児。既往に精神運動発達停滞、プロポーション異常、筋力低下があり、紹介医でフォローされていた。OTC医薬品である総合感冒薬を年齢による規定量より少量を内服した4時間後より顔色、活気不良を認め、紹介医を受診した。意識障害、ショック状態のため、敗血症性ショックが疑われ当科に入院となった。薬物中毒を疑い、トライエージ®を行ったところ、オピオイドが検出された。ナロキソン投与により低血圧は劇的に改善を認め、オピオイド中毒と診断した。その後の集中治療により児の状態は改善したが、神経学的後遺症のためにADLが低下し、気管切開を要した。

監修者コメント

本症例は、OTC医薬品の総合感冒薬であるジヒドロコデインの内服により、オピオイド中毒となった一例である。諸検査の結果から、ジヒドロコデインをジヒドロモルヒネに代謝する酵素のCYP2D6の遺伝子型がUltra Rapid Metabolizerであることが判明し、少量のコデインであったにも関わらず、急速にモルヒネに代謝され、オピオイド中毒に至ったと考えられている。本症例のようなケースは比較稀ではあるが、小児におけるOTC医薬品の危険性について警鐘を鳴らす一例と言える。

著者(発表者)
仲岡佐智子ほか
所属施設名
富山大学小児科
表題(演題)
OTC医薬品の適正使用後にオピオイド中毒に至った女児例
雑誌名(学会名)
日本小児臨床薬理学会雑誌 30(1) 147 (2017)
第43回 日本小児臨床薬理学会学術集会 (2016.11.11-12)

新着文献 一覧

PAGETOP