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サンシシ含有漢方製剤による腸間膜静脈硬化症

2018年11月掲載

薬剤 サンシシ生薬
副作用 腸間膜静脈硬化症
概要 68歳、男性。X-6年、便潜血陽性にて大腸内視鏡検査を施行したところ、上行結腸に類円形の潰瘍が多発しており、上行結腸全体が暗紫色調に変化していた。虚血による大腸潰瘍と考え、自覚症状は認めなかったため、経過観察としていた。X-1年に便秘のため緩下剤が開始され、X年の大腸内視鏡検査にて横行結腸の肝弯曲よりに狭窄を認め内視鏡が通過しなかった。注腸検査ならびにCTを施行し、CTでは上行結腸から横行結腸肝弯曲の壁肥厚及び周囲血管の石灰化を認め、腸間膜静脈硬化症が考えられた。服薬歴聴取によりサンシシを含んだ漢方薬を服用していたことが判明したため、中止とした。横行結腸の狭窄が強く、腸閉塞を起こす可能性を考え、腹腔鏡下右半結腸切除術を施行した。病理結果は静脈硬化病変による慢性循環障害の所見であり、腸間膜静脈硬化症と診断した。

監修者コメント

近年、サンシシを含有する漢方薬の長期投与による腸間膜静脈硬化症の発症が報告されている。腸間膜静脈硬化症は大腸壁内から腸間膜の静脈に石灰化が生じ、静脈還流障害によって腸管の慢性虚血性変化をきたす疾患である。本症例もサンシシ含有の漢方薬を長期間投与されており、腸間膜静脈硬化症から大腸狭窄に至ったと考えられる。サンシシ含有の漢方薬を長期服用している患者が腹部症状や大腸の虚血性変化を認めた場合には、本合併症も考慮すべきである。

著者(発表者)
田鶴谷奈友ほか
所属施設名
愛媛県立新居浜病院内科
表題(演題)
大腸狭窄のため手術を施行した腸間膜静脈硬化症の1例
雑誌名(学会名)
第120回 日本消化器内視鏡学会四国支部例会 プログラム・抄録集 67 (2018)
第120回 日本消化器内視鏡学会四国支部例会 (2018.6.23-24)

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