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エドキサバンによるコンパートメント症候群

2018年10月掲載

薬剤 エドキサバン血液・体液用薬
副作用 コンパートメント症候群
概要 19歳、男性。原動機付自転車を走行中の衝突事故により受傷し、他院に搬送後、手術施行目的に当院転院となった。受傷後6日目に右下腿痛の訴えがあり、エコーを施行したところ両側膝窩静脈に血栓を認め、エドキサバン内服を開始し、通院加療とした。受傷後24日に突然の右下腿痛を自覚し、翌日になっても改善を認めないため、当院救急外来を受診した。組織内圧は浅後方コンパートメントで70mgHgに上昇していた。造影CTで右ヒラメ筋内に血腫を認め、右ヒラメ筋内の血腫によるコンパートメント症候群と診断し、緊急減張切開術を施行した。創部治癒、術後経過ともに良好である。

監修者コメント

コンパートメント症候群とは、スポーツや交通事故などによる打撲、骨折、脱臼などをきっかけに、出血などで組織内圧が上昇し、筋腱神経組織が壊死に至る病態である。本文献では、経口抗凝固薬であるエドキサバン(リクシアナ®︎)の内服中に誘因なくコンパートメント症候群を発症した稀な症例を報告している。同薬剤は深部静脈血栓症に対する安全性の高い治療薬として広く使用されているが、本症例のように内服開始から時間が経過してからもコンパートメント症候群を生じる可能性があり、注意が必要である。

著者(発表者)
三浦泰平ほか
所属施設名
りんくう総合医療センター整形外科
表題(演題)
抗凝固療法中に誘因なく発症したコンパートメント症候群の1例
雑誌名(学会名)
中部日本整形外科災害外科学会雑誌 61(2) 289-290 (2018.3)
第129回 中部日本整形外科災害外科学会(2017.10.6-7)

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