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アバタセプトによる膿胸

2013年10月掲載

薬剤 アバタセプトその他の代謝性医薬品
副作用 膿胸
概要 72歳、女性。6年前から関節リウマチに対してアバタセプトおよびメトトレキサートを投与していた。呼吸困難・側胸部痛が出現したが、経過観察し、当科定期受診した。白血球増多、炎症反応高値、低酸素血症を認め、胸部レントゲンで右肺野に被包化胸水を認めた。胸水穿刺で悪臭を伴う膿性胸水をドレナージしたためStreptococcus intermediusによる膿胸と診断した。抗生物質の投与を行い、入院翌日に胸腔鏡下胸膜切除術を行った。術後は抗生物質の投与とドレナージにより膿胸は改善し、術後28日で退院した。

監修者コメント

アバタセプト(オレンシア®)は、cytotoxic T-lymphocyte antigen (CTLA-4)分子の細胞外ドメインとヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域からなる融合蛋白で、抗原提示細胞表面のCD80/86に結合することで、T細胞の活性化を阻害する選択的共刺激調節剤である。アバタセプトは比較的安全性の高い生物学的製剤とされているが、本症例ではStreptococcus intermediusによる膿胸を発症した。TNF-α阻害剤では長期使用により、重症感染症が増加傾向にあるといわれている。アバタセプトの日本人における長期成績はまだ明確にされていないが、今後長期使用例が増えることにより、本症例のような重症感染症が増加する可能性が考えられ、注意が必要である。

著者(発表者)
神田真聡ほか
所属施設名
市立札幌病院リウマチ・免疫内科ほか
表題(演題)
アバタセプト投与中の関節リウマチ患者に発症したStreptococcus intermediusによる膿胸
雑誌名(学会名)
臨床リウマチ 25(2) 125-129 (2013.6)

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