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ペムブロリズマブによる血球貪食症候群

2018年6月掲載

薬剤 ペムブロリズマブ腫瘍用薬
副作用 血球貪食症候群
概要 67歳、男性。右縦隔型非小細胞肺癌に対し、化学放射線療法を行い、一旦は腫瘍の縮小がみられたが、再度増悪が見られたためペムブロリズマブを導入することとなった。2コース目投与から2週間後に発熱、倦怠感を主訴に当科救急外来を受診、炎症反応高値、汎血球減少、多臓器不全などを認め、同日入院しICUに収容された。臨床経過や骨髄検査における血球貪食像などから主病態は血球貪食症候群(HPS)であると考えられた。ただちにステロイドパルスおよびシクロスポリン投与を開始、持続血液浄化療法(CHDF)と人工呼吸管理も併用した。これらの治療により病状は徐々に改善し、入院から36日病日後に一般病棟に転棟となった。

監修者コメント

ペムブロリズマブ(キイトルーダ®︎)は本邦で2番目の抗PD-1抗体として悪性黒色腫や肺がんなどの治療薬として使用されている。これらの免疫チェックポイント阻害剤では、甲状腺機能障害、副腎皮質機能障害、1型糖尿病などの免疫関連有害事象(irAE)の出現が報告されている。本薬剤によるHPSの報告はないようだが、HPSが免疫活性化による高サイトカイン血症を病態背景としていることを考えると、本症例におけるHPSも免疫チェックポイント阻害剤によるirAEである可能性が考えられる。本薬剤は本邦で使用可能となってから日が浅いため、今後も有害事象などの報告の蓄積が重要である。

著者(発表者)
波戸章郎ほか
所属施設名
兵庫県立淡路医療センター麻酔科
表題(演題)
ペムブロリズマブ投与中に血球貪食症候群を来した肺癌患者の1症例
雑誌名(学会名)
第45回 日本集中治療医学会学術集会 抄録集(Web) P56-1 (2018)
第45回 日本集中治療医学会学術集会 (2018.2.21-23)

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