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ベタメタゾン(セレスタミン®中成分)による薬疹

2018年6月掲載

薬剤 ベタメタゾンホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 薬疹
概要 38歳、女性。幼少期にアトピー性皮膚炎とアレルギー性結膜炎・鼻炎のため、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼・点耳・点鼻液(リンデロン®)とベタメタゾン吉草酸エステル軟膏(リンデロン®-V)を使用していた。長引く咳嗽に対し、感冒としてセレスタミン®1錠/日眠前、ガレノキサシン、プランルカスト、L-カルボシステイン、リン酸コデイン、テプレノン、麦門冬湯、ツロブテロールテープ、ナファゾリン硝酸塩点鼻液の使用を開始した。2日後(第1病日)より、腹部に掻痒を伴う紅斑が出現したため、セレスタミン®以外の薬剤中止を指示され、新たにフェキソフェナジン塩酸塩の内服を追加されたが、紅斑は拡大した。自己判断で第4病日にセレスタミン®とフェキソフェナジン塩酸塩を中止したところ、紅斑は退色傾向を示し、第8病日に当科を受診した。ジフルプレドナート(マイザー®)軟膏による治療を行い、第14病日に皮疹は消褪した。
使用した薬剤のパッチテストでは、セレスタミン®のみ+で、セレスタミン®の主成分であるベタメタゾンの内服誘発テストで、開始から約22時間で小紅斑が多数出現したことから、セレスタミン®配合錠[ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤]中のベタメタゾンによる薬疹と診断した。また、幼少期のベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(リンデロン®)液使用による経皮・経粘膜感作も疑った。

監修者コメント

ベタメタゾンは強い抗炎症作用と抗アレルギー作用を有し、重症薬疹の治療にも用いられるため、薬疹の原因薬剤として盲点になりやすいと考えられる。特にステロイド剤投与中に薬疹を認めても、皮疹への抑制効果を期待して継続される可能性がある。稀ではあるが、ステロイド剤の投与により薬疹を生じる可能性があることに注意する必要がある。

著者(発表者)
髙山恵律子ほか
所属施設名
高槻病院,皮膚科
表題(演題)
幼少期の経皮・経粘膜感作が疑われたベタメタゾンによる薬疹の1例
雑誌名(学会名)
皮膚科の臨床 60(1) 39-43 (2018.1)

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