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経口避妊薬による多発肝細胞腺腫

2018年5月掲載

薬剤 経口避妊薬泌尿生殖器官及び肛門用薬
副作用 多発肝細胞腺腫
概要 47歳、女性。31歳時に子宮体癌にて子宮内掻爬術を施行し、以後ホルモン療法として経口避妊薬を内服中であった。2017年6月に強い腹痛で近医を受診、腹部CTにて肝に多発腫瘤を指摘され、当院消化器内科を紹介受診、精査加療目的で緊急入院となった。肝膿瘍の可能性も考えられたが、多発肝膿瘍は稀であること、発熱がないことから肝生検が実施された。病理組織検査で背景肝は非アルコール性脂肪性肝炎を呈しており、腫瘍部については軽度の細胞密度上昇を伴う異型性の乏しい肝細胞で構成されており、肝細胞腺腫が疑われた。入院時より内服中であった経口避妊薬を中止して経過観察としたが、3ヵ月後の画像検査で腫瘤の縮小傾向を認めている。

監修者コメント

肝細胞腺腫は肝細胞由来の多発性腫瘍であり、経口避妊薬やステロイド内服歴を有する女性に発症することが報告されている。本症例においても経口避妊薬内服中の中年女性に発症している。欧米でも人口10万人に4、5人程度と報告される非常に稀な疾患であり、分子生物学的な特性もまだ不明な点が多いため、今後の更なる研究や症例報告が期待される。

著者(発表者)
後藤拓也ほか
所属施設名
大阪鉄道病院消化器内科ほか
表題(演題)
急性腹症で中年女性に発症した多発肝細胞腺腫(分類不能型)の一例
雑誌名(学会名)
日本交通医学会 第88回 関西地方会 プログラム 2 (2017)
第88回 日本交通医学会関西地方会(2017.11.29)

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