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ニボルマブによる副腎不全、破壊性甲状腺炎

2018年4月掲載

薬剤 ニボルマブ腫瘍用薬
副作用 副腎不全、破壊性甲状腺炎
概要 42歳、男性。右足原発のメラノーマに対し2013年に右足底部腫瘍切除術を行ったが2015年9月に右下腿皮下転移を認め、2016年6月よりニボルマブが開始となった。同年11月に発熱で9コース目がキャンセル、12月から全身倦怠感、発熱、強い嘔気が生じ、食事摂取不能となり、2017年1月に緊急入院となった。脱水、肝・腎機能障害、高Ca血症が認められ、ニボルマブによる破壊性甲状腺炎と考えられた。高Ca血症の鑑別として、甲状腺中毒は発症から期間が短いため考えにくく、副腎不全の合併が疑われた。血液検査で血清コルチゾールと血清ACTHの著名な低値を認め、迅速ACTH負荷試験等から下垂体性副腎不全との診断に至った。

監修者コメント

免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ(オプジーボ®)は2014年に悪性黒色腫への保険適用が認められ、その後、切除不能な非小細胞性肺癌へ適応拡大され、使用症例が増加している。これに伴い、1型糖尿病、甲状腺機能障害、副腎障害などの内分泌代謝関連の有害事象の報告も増えている。本症例は、ニボルマブ最終投与から1~2ヵ月後に破壊性甲状腺炎、高Ca血症を伴う下垂体性副腎不全をほぼ同時にきたした稀な症例である。免疫チェックポイント阻害薬を使用する際には、投与中のみならず投与終了後も注意深く経過観察を行う必要がある。

著者(発表者)
秋山義隆ほか
所属施設名
埼玉医科大学総合医療センター内分泌・糖尿病内科ほか
表題(演題)
ニボルマブ中止後の副腎不全、破壊性甲状腺炎の同時発症例
雑誌名(学会名)
日本内分泌学会雑誌 93(2) 554 (2017.10)
第27回 臨床内分泌代謝Update (2017.11.24-25)

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