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セフジトレンピボキシルによるカルニチン欠乏症

2018年4月掲載

薬剤 セフジトレンピボキシル抗生物質製剤
副作用 カルニチン欠乏症
概要 1歳6ヵ月、女児。来院半年前から感冒や中耳炎を繰り返し、近医で抗菌薬を切り替えながら処方されていた。そのうちピボキシル基含有抗菌薬は、セフジトレンピボキシル(CDTR-PI)を来院3ヵ月前に3日間、1ヵ月前に4日間、4日前から4日間処方されていた。2日前から食欲がなく、来院当日早朝にけいれんと意識障害があり当院へ救急搬送となった。来院時に著しい低血糖を認め、ブドウ糖静注で意識回復した。受診時のろ紙血でタンデムマス分析を行ったところC0低下とC5高値が確認され、ピボキシル基含有抗菌薬投与による二次性カルニチン欠乏に矛盾しない結果であった。後日、カルニチンクリアランスと尿中有機酸分析に異常がないことより、全身性カルニチン欠乏とイソ吉草酸血症が否定され、確定診断に至った。

監修者コメント

セフジトレンピボキシル(メイアクトMS®)は上気道感染などの治療薬として日常診療で頻繁に用いられている。本文献では、セフジトレンピボキシル内服中に低血糖を伴う無熱性けいれんをきたし、タンデムマス法により診断し得た二次性カルニチン欠乏症の1歳女児例を報告している。本薬剤の添付文書にも重要な副作用として低カルニチン血症に伴う低血糖が記載されている。ピボキシル基含有抗菌薬を投与する際には、頻度は低いものの二次性カルニチン欠乏症による低血糖を発症する可能性があることに注意すべきである。

著者(発表者)
梶原和華ほか
所属施設名
もりおかこども病院小児科ほか
表題(演題)
タンデムマス法が診断に有用であったピボキシル基含有抗菌薬によるカルニチン欠乏症
雑誌名(学会名)
日本小児科学会雑誌 121(11) 1862-1866 (2017.11)
第136回 日本小児科学会岩手地方会(2015.12)

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