レベチラセタムによる悪性症候群
2018年3月掲載
薬剤 | レベチラセタム中枢神経用薬 |
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副作用 | 悪性症候群 |
概要 | 22歳、女性。構音障害を主訴に救急搬送された。CTにて脳動静脈血管奇形と診断後、開頭術を施行した。2病日目にてんかん予防としてレベチラセタムの点滴静注(500 mg BID/15 min)を開始し、3病日目に経口投与に切り替え、6病日目に増量した(1000 mg BID)。同時に肝機能値とCKの上昇ならびに発汗過多と筋緊張を認め(AST 119 U/L、ALT 58 U/L、LDH 348 U/L、ALP 167 U/L、CK 3501 U/L、WBC 10680/μL)、7病日目に発熱、頻脈も併発(CK 3501 U/L、WBC 10420/μL)したため、悪性症候群を疑い内服を中止した。ダントロレン(合計80 mg)の投与を開始し、8-9病日目に肝機能、CK、WBCが改善した。27病日目、けいれん発作もなく経過している。 |
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悪性症候群は、主に向精神薬の開始や中断・再開などによって、高熱、意識障害、筋強直、横紋筋融解などをきたす症候群である。治療が遅れると死亡する可能性もある重篤な有害事象であり、早期診断と適切な治療が重要である。本文献では、第2世代抗てんかん薬であるレベチラセタムの単剤投与により悪性症候群を発症した稀な症例を報告している。最近、本剤の添付文書の重大な副作用にも「悪性症候群」が追記された。脳卒中後のてんかん予防などに本剤を投与する際には、悪性症候群の発症にも注意すべきである。
- 著者(発表者)
- 水野翔童ほか
- 所属施設名
- 国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター薬剤部ほか
- 表題(演題)
- レベチラセタム単剤投与により誘発された悪性症候群の一例
- 雑誌名(学会名)
- てんかん研究 35(2) 631 (2017.9)
第51回 日本てんかん学会学術集会 (2017.11.3-5)
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