ペグフィルグラスチム(ジーラスタ®)による皮膚血管炎
2018年2月掲載
薬剤 | ペグフィルグラスチム血液・体液用薬 |
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副作用 | 皮膚血管炎 |
概要 | 57歳、女性。3年前S状結腸癌と多発肝転移を指摘され、腸閉塞予防のためS状結腸切除術を施行後、化学療法(FOLFOX6+Panitumumab)を受けた。化学療法8回施行後に転移性肝腫瘍を切除したが、肺転移が見つかり、4ヵ月前から2クール目の化学療法を開始した。発熱性好中球減少症の抑制のため抗がん剤投与4日目にペグフィルグラスチム(ジーラスタ®)投与としたが、3回目の投与から14日目に下腿に紫斑が出現、皮膚生検ではLeukocytoclastic vasculitisの所見であった。紫斑が軽度であったため、4回目の抗がん剤とペグフィルグラスチムを施行したが、紫斑が増悪し、尿蛋白と尿沈渣赤血球が出現した。ペグフィルグラスチムによる皮膚血管炎、腎障害を疑い、5回目以降はフィルグラスチム投与とした。紫斑は数日で消褪したが、蛋白尿は持続している。 |
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G-CSF製剤であるフィルグラスチムのN末端をペグ化して持続型としたペグフィルグラスチム(ジーラスタ®)は、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制に用いられている。G-CSFと皮膚血管炎の関連はこれまでにも報告されているが、本症例のようなペグフィルグラスチムの投与による皮膚血管炎の報告は稀である。本剤は、血中半減期が長く連日投与が不要で、患者の負担も軽いため、今後は使用の拡大が予想される。本剤投与中に紫斑などの症状を認めた際には、皮膚血管炎の合併も考慮する必要がある。
- 著者(発表者)
- 青木昭子ほか
- 所属施設名
- 東京医科大学八王子医療センターリウマチ科ほか
- 表題(演題)
- ペグ化顆粒球コロニー形成刺激因子製剤(G-CSF)投与後に皮膚血管炎を発症した1例
- 雑誌名(学会名)
- 第15回 日本病院総合診療医学会学術総会 プログラム・抄録集 282 (2017)
第15回 日本病院総合診療医学会学術総会 (2017.9.14-15)
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