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ナタリズマブ投与中のギラン・バレー症候群

2018年2月掲載

薬剤 ナタリズマブ中枢神経用薬
副作用 ギラン・バレー症候群
概要 30歳、女性。X-2年8月に左上下肢の筋力低下を主訴に当科入院し、多発性硬化症と診断された。ステロイド治療とフィンゴリモド導入により症状は改善したが、同年11月に肝機能障害のためフィンゴリモドは中止し、ナタリズマブを開始した。X年4月より呂律不良と嚥下困難が出現したため、当科入院となった。神経学的に上方注視麻痺、構音・嚥下障害、四肢腱反射彰質、両上肢肢帯筋の筋力低下を認め、神経伝達速度検査で軸索型の末梢神経障害の所見があり、咽頭頸部上腕型のギラン・バレー症候群と診断した。免疫グロブリン大量静注療法を施行したが、その後両側顔面神経麻痺が出現したため、ステロイドパルス療法を追加し、症状は改善傾向となった。

監修者コメント

ナタリズマブはヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体であり、多発性硬化症の再発予防および身体的障害の進行抑制に用いられている。本薬剤の重大な副作用として、進行性多巣性白質脳症(PML)などが添付文書にも記載されているが、本症例のようにギラン・バレー症候群が合併することは稀であり、示唆に富む1例である。

著者(発表者)
野上健一郎ほか
所属施設名
九州大学大学院医学研究院神経内科学
表題(演題)
ナタリズマブ投与中に咽頭頸部上腕型ギラン・バレー症候群を発症した多発性硬化症の一例
雑誌名(学会名)
第219回 日本神経学会九州地方会 プログラム・抄録集 15 (2017)
第219回 日本神経学会九州地方会 (2017.9.9)

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