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ダニアレルゲンエキス舌下錠による急性散在性脳脊髄炎

2018年2月掲載

薬剤 ダニアレルゲンエキスアレルギー用薬
副作用 急性散在性脳脊髄炎
概要 19歳、男性。アレルギー性鼻炎に対し、ダニアレルゲンエキス舌下錠による減感作療法を開始したが、腹痛、便秘、右下肢脱力、右下肢異常感覚が出現し、開始から約1ヵ月後に減感作薬を中止した。症状は徐々に増悪し、右優位痙性対麻痺、排尿障害となり、歩行障害と尿閉をきたしたため入院となった。右優位のTh12横断性脊髄障害、髄液細胞33/mm3、髄液蛋白52 mg/dL、抗AQP4抗体陰性、抗MOG抗体陰性、血清IgE1018 IU/mLを認め、MRIで脳幹、小脳、全脊髄に散在性のT2高信号病変を認めた。急性散在性脳脊髄炎と診断し、ステロイドパルス療法を施行したところ、症状は軽減し歩行可能となった。またMRIで脳幹、小脳病変は消失し、脊髄病変は軽減した。

監修者コメント

ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法にダニアレルゲンエキス舌下錠が使用されている。同剤については、アナフィラキシーなど重篤な副作用出現のリスクも懸念されるため、2015年に厚生労働省が適正使用と流通管理に関して注意喚起を行っている。投薬医師の講習受講と登録が必須条件となっており、投与の際には細心の注意が必要である。本症例のように減感作療法に関連して発症した急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の報告は極めて稀であるが、本剤を用いた減感作療法を行う際には、慎重な経過観察が必要である。

著者(発表者)
川尻真和ほか
所属施設名
済生会福岡総合病院神経内科
表題(演題)
ダニアレルゲンエキス舌下錠による減感作療法を契機に発症した急性散在性脳脊髄炎の1例
雑誌名(学会名)
第219回 日本神経学会九州地方会 プログラム・抄録集 10 (2017)
第219回 日本神経学会九州地方会 (2017.9.9)

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