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レナリドミドによる慢性骨髄性白血病

2013年8月掲載

薬剤 レナリドミド腫瘍用薬
副作用 慢性骨髄性白血病
概要 61歳、男性。定期受診時の血液検査にて貧血、血小板減少、クレアチニン値の上昇、高尿酸血症を認めた。当科受診によりBence-Jones protein(BJP)-λ型多発性骨髄腫と診断された。当科入院にてボルテゾミド・デキサメタゾン療法を施行し、治療効果判定はPRと判断された。加療継続が必要と思われたが、神経障害の出現から、ボルテゾミブは継続せず、5ヵ月目からレナリドミド・デキサメタゾン併用療法を開始した。開始4ヵ月後に骨髄検査を施行したところ、染色体検査にて t(9;22)(q34;q11.2)を認めた。全身状態は良好であり、血液検査所見も有意な変化は見られなかったため、レナリドミドの内服を継続した。その後、末梢血の白血球数が増加傾向を認めたため、慢性骨髄性白血病と診断した。二次癌の発現が予後に影響を及ぼさないことが示唆されており、慢性骨髄性白血病の経過中に多発性骨髄腫を発症した症例ではレナリドミドとイマチニブの併用で良好な反応が得られていることから、レナリドミドの内服を継続しながら、ダサチニブの内服を開始した。

監修者コメント

多発性骨髄腫での複数の臨床試験において、レナリドミド使用群で二次がんの発現頻度が高い傾向が指摘されている。本症例ではBJP-λ型多発性骨髄腫に対し、レナリドミドによる維持療法を継続していたところ、染色体検査にて t(9;22)(q34;q11.2)を認め、各種検査により慢性骨髄性白血病の発症が確認された。レナリドミドによるt(9;22)(q34;q11.2)の発現や慢性骨髄性白血病の報告は見当たらず、本症例の染色体異常および慢性骨髄性白血病の発症が偶発的なものなのか、レナリドミドが関与するものなのか現時点では明らかではなく、今後の症例の蓄積が必要である。

著者(発表者)
内原潤之介ほか
所属施設名
那覇市立病院内科
表題(演題)
レナリドミドを含む維持療法中にt(9;22)(q34;q11.2)が出現したBJP-λ型多発性骨髄腫
雑誌名(学会名)
臨床血液 54(4) 388‐391 (2013.4)

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