マキサカルシトールによる高カルシウム血症
2013年8月掲載
薬剤 | マキサカルシトール外皮用薬 |
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副作用 | 高カルシウム血症 |
概要 | 71歳、女性。頭部に鱗屑を伴う紅斑が出現し、ステロイド軟膏、活性型ビタミンD3軟膏の外用を開始したが、皮疹が拡大したため当科を受診した。初診時の所見は全身に鱗屑を伴う紅斑が多発し、一部で融合しており、毛孔性紅色粃糠疹と診断した。検査所見ではCRP11.6と軽度上昇している以外に異常はなかった。入院後ジフルプレドナート外用、エトレチナート内服に加え、マキサカルシトール外用を開始した。血中カルシウム値が徐々に上昇し、クレアチニンも上昇した。20日目頃より、食欲不振、嘔気、手の震えが出現し、マキサカルシトール軟膏外用による高カルシウム血 症、腎機能障害と診断した。マキサカルシトール軟膏外用とエトレチナート内服を中止し、補液と利尿薬の投与により5日目には血清カルシウム値は正常化し、全身症状も改善した。 |
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活性型ビタミンD3軟膏は、炎症性角化異常症や魚鱗癬、掌蹠角化症などの先天性角化異常症の治療に用いられている。外用された活性型ビタミンD3軟膏のほとんどが皮膚に存在する代謝酵素により不活化されるが、一部は代謝されないまま血中に移行し高カルシウム血症を引き起こすと考えられている。マキサカルシトール軟膏は、1日使用量が10gまでであれば、高カルシウム血症をきたさないという点で安全性が高いとされているが、規定範囲内の外用量でも高カルシウム血症をきたした症例が報告されている。本症例も外用量は規定内であったものの、8g/日と多量であった。また高齢、ステロイド外用、エトレチナート内服により皮膚が菲薄化していた可能性があり、血中カルシウム濃度の上昇が起こりやすい状態にあったと考えられる。
- 著者(発表者)
- 水柿典子ほか
- 所属施設名
- 札幌医科大学皮膚科学教室
- 表題(演題)
- マキサカルシトール軟膏外用中に高カルシウム血症をきたした毛孔性紅色粃糠疹の1例
- 雑誌名(学会名)
- 皮膚臨床 55(5) 668-669 (2013.5)
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