カルボシステインによる肝障害、胆管消失症候群
2018年1月掲載
薬剤 | カルボシステイン呼吸器官用薬 |
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副作用 | 肝障害、胆管消失症候群 |
概要 | 5歳、男児。マイコプラズマ肺炎の診断でカルボシステインとクラリスロマイシンを処方されたが、経過中に粘膜疹が出現し、マイコプラズマ感染によるStevens-Johnson症候群と診断された。他院で、IVIG 2 g/kg、PSL 2 mg/kgが投与されたが症状の改善を認めず、当院へ転院した。mPSLパルス療法3コースにより皮膚所見は改善したが、進行性の閉塞性黄疸を認め、転院先で胆管消失症候群と診断された。 薬歴・スコアリング等からカルボシステインによる薬剤性肝障害が原因に挙げられ、血漿交換により黄疸は改善した。現在は胆管の自然回復を期待し当院でフォロー中である。 |
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本症例は、去痰剤であるカルボシステイン(ムコダイン®)による薬剤性肝障害が原因と考えられる胆管消失症候群の1例である。胆管消失症候群は、小葉間胆管または近位隔壁胆管がさまざまな原因によって破壊され、その結果、消失、減少し、慢性の胆汁うっ滞を来す病態である。胆管消失症候群は非常に稀な副作用であるが、カルボシステインのような日常診療で頻繁に使用される薬剤でも発症する可能性があり、注意が必要である。
- 著者(発表者)
- 東礼次郎ほか
- 所属施設名
- 三重県立総合医療センターほか
- 表題(演題)
- 薬剤性肝障害による胆管消失症候群の1例
- 雑誌名(学会名)
- 第53回 中部日本小児科学会 プログラム・抄録集 50 (2017)
第53回 中部日本小児科学会 (2017.8.20)
監修者コメント