エピネフリンによる冠攣縮性狭心症
2018年1月掲載
薬剤 | エピネフリンホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) |
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副作用 | 冠攣縮性狭心症 |
概要 | 生来健康な52歳、女性。臼歯修復物除去のため歯科治療を受け、止血のため頬粘膜と歯肉の間にエピネフリン含有綿球(0.1%)を使用した。20分後に意識消失発作といびき呼吸をきたし、脈拍触知不能となったため、心肺蘇生が施行された。Automated External Defibrillator(AED)装着されたが作動せず、救急搬送中に自己心拍が再開した。入院時肺水腫を合併しており、フロセミド持続点滴・持続陽圧換気にて治療開始した。肺水腫は速やかに改善し、ベニジピン内服を追加し発作再発を認めなかったため退院とした。AEDの記録と、心電図上のST上昇、ニトログリセリン舌下投与により改善したことで、完全房室ブロックを合併した冠攣縮性狭心症による心肺停止と診断され、歯科治療で頻用される通常量のエピネフリンの関与が示唆された。 |
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本症例は、エピネフリン(ボスミン®)の局所投与により、冠攣縮性狭心症とそれに伴う完全房室ブロックを発症し、心停止をきたした稀な1例である。エピネフリンは歯科治療における止血処置などで頻繁に使用される薬剤であるが、本症例のように冠攣縮性狭心症の誘因となり、心停止に至る可能性もあるため、注意が必要である。
- 著者(発表者)
- 藤澤大志ほか
- 所属施設名
- 慶應義塾大学病院循環器内科
- 表題(演題)
- 歯科治療中のエピネフリン使用が冠攣縮性狭心症の誘因と考えられた1例
- 雑誌名(学会名)
- 心臓 49(S-1) 14-17 (2017.8)
第29回 心臓性急死研究会 (2016.12.17)
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