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免疫チェックポイント阻害薬による顔面神経麻痺、関節痛、苔癬型薬疹

2017年11月掲載

薬剤 イピリムマブ腫瘍用薬
ニボルマブ腫瘍用薬
副作用 顔面神経麻痺、関節痛、苔癬型薬疹
概要 78歳、男性。左足底悪性黒色腫(pT4bN3M0、stage 3c)に対し切除術とインターフェロン-α局注療法を行ったが、4ヵ月後に皮膚転移が見つかり、イピリムマブ3 mg/kgによる治療を開始した。2ヵ月後から左顔面神経麻痺が出現し、ステロイド内服を行った。4回投与後、炎症反応の上昇を伴う両肩関節と両側大転子に関節痛も出現し、リウマチ性多発筋痛症と診断、ステロイド投与を行った。その1ヵ月後に肺転移を来し、ニボルマブ2 mg/kgの初回投与を3週間継続したが、左下肢に水疱を伴う苔癬型薬疹を認めた。
多彩な自己免疫疾患関連副作用(irAE)を来したが、ステロイド投与で症状は抑制され、現在まで計7回の免疫チェックポイント阻害薬を継続し、新たな転移病変は認めていない。

監修者コメント

免疫チェックポイント阻害薬は、主に悪性黒色腫に対する治療薬として使用されているが、最近、非小細胞肺癌などにも適応拡大され、本剤を使用する患者が増加している。本症例では、悪性黒色腫に対するイピリムマブ(ヤーボイ®)の投与により顔面神経麻痺およびリウマチ性多発筋痛症を発症し、肺転移巣に対するニボルマブ(オプジーボ®)の投与により苔癬型薬疹を発症した。いずれもステロイドにより症状は抑制された。免疫チェックポイント阻害薬の適応拡大に伴い、重大な副作用も明らかになってきており、添付文書にもirAEに対する注意が記載されている。本例のような顔面神経麻痺や苔癬型薬疹は稀であるが、免疫チェックポイント阻害薬の投与によりirAEを認めた場合には、早期に免疫抑制療法を行うなどの適切な処置を行うことが重要である。

著者(発表者)
佐々木奈津子ほか
所属施設名
産業医科大学皮膚科
表題(演題)
免疫チェックポイント阻害薬による顔面神経麻痺、関節痛、苔癬型薬疹を呈した足底部悪性黒色腫
雑誌名(学会名)
第33回 日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会 プログラム・抄録集 163 (2017)
第33回 日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会 (2017.6.30-7.1)

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