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プレガバリンによる急性間質性腎炎

2017年11月掲載

薬剤 プレガバリン中枢神経用薬
副作用 急性間質性腎炎
概要 84歳、これまで検尿異常や腎機能障害を指摘されたことのない女性。入院4日前より手のしびれに対しプレガバリン25 mgが処方された。翌日より嘔気が出現し、呼吸苦も認めるようになり救急外来を受診、BUN 87.4 mg/dL、Cr 9.34 mg/dLと著明な腎機能悪化を認め、入院となった。やや体液過剰な状態で乏尿もみられたが、検尿所見に乏しく腎機能障害の原因は不明であった。しかし、プレガバリンの新規内服歴と尿濃縮障害、尿細管障害マーカーが尿β2-MG 9,317μg/L、尿α1-MG 25.2 mg/dLと上昇していたことから、プレガバリンによる薬剤性腎障害が疑われた。プレガバリン内服の中止とフロセミド静注で加療を開始したが反応がなく、第2病日から血液透析が開始された。Cr値の上昇は第9病日まで継続し、腎生検の結果では尿細管間質にリンパ球や好酸球浸潤が認められるのみであり、急性間質性腎炎と診断された。第9病日からは徐々に腎機能は改善し、4回目の血液透析で透析を離脱、第23病日に退院となった。

監修者コメント

プレガバリン(リリカ®)は帯状疱疹後神経痛などの神経障害性疼痛に対する鎮痛薬として広く使用されている。本症例は手のしびれに対してプレガバリンを使用したところ、著明な腎機能障害を認め、当初は原因不明であったが、腎生検にて急性間質性腎炎と診断された。急性間質性腎炎は、アレルギー反応により尿細管および間質に炎症細胞浸潤や浮腫が生じることで急性に腎機能が低下する疾患である。プレガバリンによる急性間質性腎炎は過去に報告がないが、本症例のような腎機能正常患者においても、重篤な腎不全が生じうる可能性があることに注意すべきである。

著者(発表者)
山崎智貴ほか
所属施設名
公立昭和病院腎臓内科
表題(演題)
血液浄化が必要となった,正常腎機能患者のプレガバリンによる急性間質性腎炎が疑われた1例
雑誌名(学会名)
日本透析医学会雑誌 50(5) 301-307 (2017.5)

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