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オキサリプラチンによる横紋筋融解症

2017年11月掲載

薬剤 オキサリプラチン腫瘍用薬
副作用 横紋筋融解症
概要 73歳、男性。横行結腸癌、S状結腸癌、その転移性肝癌に対して同時切除を施行した。術後補助化学療法としてCapeOX療法を施行したところ、Oxaliplatin(OX)の投与数時間後より四肢近位側に疼痛が出現した。帰宅後1日目よりCapecitabine(Cape)の内服を開始したが、疼痛による歩行困難をきたしたため、外来を受診した。採血検査にて血中クレアチンキナーゼ高値を認めた。Capeの内服も行っていたが、OX投与直後より症状の出現があったことからOXによる薬剤性横紋筋融解症の診断にて、腎保護目的の点滴加療を開始した。筋崩壊に伴うADLの著明な低下や嚥下機能障害、咽頭浮腫による呼吸障害をきたした。筋崩壊が終息するまでには112日間を要し、その後リハビリテーションを行ったが、筋力回復を認めないまま大腸癌の多発腹腔内再発により永眠された。

監修者コメント

横紋筋融解症は、骨格筋が障害を受けて融解・壊死し、筋肉痛や脱力を生じる疾患である。原因薬剤としては、高脂血症の治療薬であるHMG-CoA還元酵素阻害薬やフィブラート系薬剤が多く報告されている。本症例では、大腸がんに対する化学療法にて白金製剤であるオキサリプラチン(エルプラット®)を投与したところ、薬剤性横紋筋融解症を発症した。オキサリプラチンによる横紋筋融解症は稀な副作用であるが、本剤の投与中に筋肉痛などの症状を認めた場合には、横紋筋融解症の可能性も考慮し、適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
丸岡慎平ほか
所属施設名
和歌山労災病院外科
表題(演題)
Oxaliplatinによる薬剤性横紋筋融解症の1例
雑誌名(学会名)
日本臨床外科学会雑誌 78(5) 921-925 (2017.5)
第4回 日本臨床外科学会和歌山県支部会 (2016)

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