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イコデキストリン透析液によるアレルギー性腎障害・肝障害

2017年11月掲載

薬剤 イコデキストリン透析液人工透析用薬
副作用 アレルギー性腎障害・肝障害
概要 60歳、女性。糖尿病性腎症による末期腎不全に対して腹膜透析導入のため入院した。第4病日に腹膜透析カテーテル挿入術を施行し、第6病日よりブドウ糖透析液(ミッドペリックL135®)で腹膜透析を開始した。第10病日にイコデキストリン透析液(ニコペリック®)に変更したところ、第15病日に肝障害と腎障害が出現した。この間に明らかな体液量変動は認めず、脱水は否定的であった。好酸球増多症を認め、ほかに新規に開始した被疑薬が存在しないことからイコデキストリン透析液によるアレルギー反応を疑った。第17病日にイコデキストリン透析液を中止し、ブドウ糖透析液に変更したところ、第19病日より肝障害と腎障害の改善を認め、第30病日に退院となった。退院後はブドウ糖透析液使用で肝障害や腎障害の再燃はなく、腹膜透析を継続している。

監修者コメント

イコデキストリン透析液は浸透圧物質としてブドウ糖の代わりにトウモロコシデンプン由来のイコデキストリンを用いた腹膜透析液である。本症例では、イコデキストリン透析液を用いた腹膜透析にて肝障害および腎障害を発症した。イコデキストリンは元来生体に存在しない物質であり、皮膚障害などのアレルギー反応が報告されているが、肝障害および腎障害の報告はこれまでになく、稀な症例といえる。本剤を用いた透析中は、肝障害および腎障害を含めたアレルギー反応の発生に注意する必要がある。

著者(発表者)
七松東ほか
所属施設名
横須賀共済病院腎臓内科
表題(演題)
イコデキストリン透析液によるアレルギー性の肝障害,腎障害が疑われた腹膜透析患者の1例
雑誌名(学会名)
日本透析医学会雑誌 50(5) 309-313 (2017.5)
第61回 日本透析医学会学術集会・総会 (2016.6)

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