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メトトレキサートによるIgA血管炎

2017年10月掲載

薬剤 メトトレキサートその他の代謝性医薬品
副作用 IgA血管炎
概要 B型肝炎ウイルスキャリアの55歳、男性。Crohn病で2年前よりインフリキシマブの投与を開始、経過中の炎症性腸疾患関連脊椎関節炎に対してメトトレキサート(MTX)4mg/週の内服が開始された。3週間後、6mg/週に増量した夜、発熱と倦怠感が出現し、翌朝四肢の紫斑に気付いた。紫斑は経過観察のみで消褪したため、予定通り1週間後にMTXを内服したところ翌日に再度紫斑が出現したため、MTXを中止し当科を受診した。生検皮膚の蛍光抗体直接法で真皮浅層血管壁にIgA、IgA1、C3、C1qが沈着しており、IgA血管炎と診断。軽度の紫斑の再燃を繰り返したが、中止から約2ヵ月で完全に消褪した。その後、8週間隔でインフリキシマブを投与中であるが、皮疹の再燃はない。

監修者コメント

IgA血管炎はIgAを含む免疫複合体による小血管炎であり、紫斑、腎炎、腹痛、関節痛などの症状を認める。以前はHenoch-Schönlein紫斑病と呼ばれていたが、2012年よりIgA血管炎に名称が変更になった。本症例では、炎症性腸疾患関連脊椎関節炎に対して低用量MTXの投与を開始したところ、四肢に多発性の紫斑を認めたため、同薬剤によるIgA血管炎が疑われた。低用量MTXによる有害事象の頻度は低いとされているが、紫斑などの症状を認めた場合には、本合併症を考え適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
服部有希ほか
所属施設名
岐阜大学医学部皮膚科ほか
表題(演題)
メトトレキサート内服後に生じたIgA血管炎の1例
雑誌名(学会名)
皮膚科の臨床 59(5) 545-548 (2017.5)

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