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プロカテロールによる易刺激性

2013年7月掲載

薬剤 プロカテロール呼吸器官用薬
副作用 易刺激性
概要 日齢49日、男児。咳そうを主訴に近医小児科を受診し、急性気管支炎の診断でl-カルボシステイン、チペピジンヒベンズ酸塩、プロカテロール塩酸塩のシロップ製剤を処方された。同日夜間より機嫌が不良となり、全身が震え数秒間続くことを繰り返し、視線が合わず、体が硬い感じがした。体温も37.8度に上昇したため、同日夜間当院救急外来を受診した。母の声掛けや診察台に寝かせたり、聴診器を当てたりするだけでMoro反射が出現し、数秒続くことを繰り返し、ごく軽微な刺激で非対称性緊張性頸反射が誘発された。維持輸液を行いながらモニタ下に経過観察した。翌朝もMoro反射や足間代は容易に誘発される状態であったが、その程度は明らかに減少していた。徐々に哺乳、全身状態良好となり、第2病日に退院となった。内服5時間後のプロカテロール塩酸塩の血中濃度は192pg/mLと高値で、易刺激性の原因と考えられた。

監修者コメント

本症例では1ヶ月の男児に対して気管支喘息の診断でβ2受容体刺激薬であるプロカテロール塩酸塩を投与したところ、軽微な刺激での四肢の振戦や非対称性緊張性顎反射などの誘発を認めた。著者はこの著明な易刺激性はプロカテロールの血中濃度の高値が原因であると判断している。本例のような1ヶ月児では薬物代謝が年長児・成人とは異なり低下している可能性がある。新生児期から乳児期前半に対するプロカテロールの使用にあたっては、適応をよく吟味して最小限の使用にとどめるなど、薬用量を再検討する必要があると思われる。

著者(発表者)
柴村美帆ほか
所属施設名
茅ケ崎市立病院小児科
表題(演題)
常用量のプロカテロール塩酸塩の内服で血中濃度の異常高値と著明な易刺激性を呈した1ヶ月男児
雑誌名(学会名)
日本小児臨床薬理学会雑誌 25(1) 110-113 (2012)

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