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ドロペリドールによる錐体外路症状

2017年10月掲載

薬剤 ドロペリドール中枢神経用薬
副作用 錐体外路症状
概要 15歳、女性。自転車走行中の転倒により右上腕骨を骨折し、観血的整復固定術のため来院した。手術終了時より術後疼痛としてペンタゾシン60 mg、制吐薬としてドロペリドール5 mgを生理食塩液に混合し持続皮下注入を開始した。
術後鎮痛は良好で、嘔気の訴えもなく追加の鎮痛薬も必要としなかったが、術後20時間が経過した頃より、呼びかけに対して反応が弱く指示にも応じなくなり、両眼球上転位の症状が出現した。呼吸、循環とも安定しており、血液生化学検査でも異常所見は認められず、ドロペリドールによる錐体外路症状の診断となった。そのまま経過観察を行い、症状は徐々に改善、持続皮下注入中止から20時間後に完全に消失し、ICUを退室した。

監修者コメント

本症例では、右上腕骨骨折に対する術後鎮痛薬の持続皮下注入において、制吐目的に使用したドロペリドールによって錐体外路症状を発症した。本症例のような若年者はドロペリドールに対する感受性が高いことが報告されており、特に注意が必要である。ドロペリドールによる錐体外路症状については添付文書にも記載があるが、硬膜外投与や静脈内投与のみならず、本症例のような持続皮下注入でも錐体外路症状を発症することがあり、投与中は慎重な経過観察を行う必要がある。

著者(発表者)
中村仁ほか
所属施設名
香川県立中央病院麻酔科
表題(演題)
ドロペリドールの持続皮下注入によって錐体外路症状をきたした1例
雑誌名(学会名)
臨床麻酔 41(5) 767-768 (2017.5)

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