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ザルトプロフェンによる低血糖

2017年9月掲載

薬剤 ザルトプロフェン中枢神経用薬
副作用 低血糖
概要 81歳、女性。昼食後にザルトプロフェンを含む薬剤を内服した。約2時間後に冷汗が出現、呼びかけに反応しなくなり救急搬送された。来院時GCS E1V1M1、血糖値20 mg/dLと低血糖が認められた。
糖尿病の既往もなく、低血糖時のインスリン抗体も陰性で、血中インスリン濃度は低値であったことからインスリン自己免疫症候群は否定的であった。他の非ステロイド系抗炎症薬で低血糖が誘発されなかったことから、ザルトプロフェンが有する特異的な作用機序による低血糖発症が示唆された。

監修者コメント

非ステロイド系抗炎症薬であるザルトプロフェンは、炎症・痛みの原因となるプロスタグランジンの生成に関与するシクロオキシゲナーゼを阻害することで、解熱・鎮痛・抗炎症作用を示す。本症例ではザルトプロフェンの内服により低血糖を認めたが、他の非ステロイド抗炎症薬では低血糖は誘発されなかったため、同薬剤による特異的な作用機序が示唆されている。非ステロイド抗炎症薬は日常診療において頻繁に使用されている薬剤であり、予期せぬ副作用に注意する必要がある。

著者(発表者)
大坪尚也ほか
所属施設名
青梅市立総合病院内分泌糖尿病内科
表題(演題)
ザルトプロフェンの内服による低血糖の一例
雑誌名(学会名)
糖尿病 60(S-1) S253 (2017.4)
第60回 日本糖尿病学会年次学術集会 (2017.5.18-20)

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