せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > アレンドロン酸ナトリウム水和物、リセドロン酸ナトリウム水和物による外耳道骨壊死

アレンドロン酸ナトリウム水和物、リセドロン酸ナトリウム水和物による外耳道骨壊死

2017年8月掲載

薬剤 アレンドロン酸ナトリウム水和物その他の代謝性医薬品
リセドロン酸ナトリウム水和物その他の代謝性医薬品
副作用 外耳道骨壊死
概要 88歳、女性。骨粗しょう症の治療として7年前から約4年間ビスホスホネート製剤であるアレンドロン酸ナトリウム水和物の内服とエルカトニン注射の治療を受けていた。その後、胸腰椎圧迫骨折も併発し、抜歯のため3ヵ月間の休薬期間をはさんでいるがビスホスホネート製剤のリセドロン酸ナトリウム水和物(BP製剤)の内服とエルデカルシトールの内服治療を受けていた。めまいを主訴に当院を受診、理学療法で1週間後の再受診時には消失していたが、右耳の掻痒感を訴えるようになった。右外耳道に膿汁分泌、耳漏からはコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が検出された。側頭骨CTでは外耳道に骨破壊像を認めたことからBP製剤による外耳道骨壊死を疑い、BP製剤の内服を中止、エルデカルシトールのみとした。また局所的治療として外耳道に酢酸アルミニウム液、テトラサイクリン塩酸塩軟膏やクロベタゾン酢酸エステル軟膏を塗布し、直線偏光近赤外線を照射し経過観察中である。

監修者コメント

ビスホスホネート製剤は悪性腫瘍の骨転移による高カルシウム血症などの抑制や、骨粗鬆症による骨折の予防などに広く使用されている。副作用として顎骨壊死が知られているが、本症例では同薬剤による外耳道骨壊死を報告している。ビスホスホネート系製剤の添付文書にも重大な副作用の項に外耳道骨壊死が追記されている。耳の感染や外傷に関連して発症する場合もあり、同薬剤の使用中に外耳炎、耳漏、耳痛などの症状を認めた場合には、耳鼻咽喉科の受診を含め適切な対応を行う必要がある。

著者(発表者)
小出千秋ほか
所属施設名
小出耳鼻咽喉科ほか
表題(演題)
ビスホスホネートの副作用と考えられた外耳道骨壊死の1例
雑誌名(学会名)
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 89(4) 355-359 (2017.4)

新着文献 一覧

PAGETOP