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新規経口抗凝固薬によるcollagenous colitis

2017年7月掲載

薬剤 アピキサバン血液・体液用薬
リバーロキサバン血液・体液用薬
副作用 collagenous colitis
概要 84歳、男性。心原性脳塞栓症を発症し、エダラボン投与およびクロピドグレル内服を開始した。第8病日よりクロピドグレルをアピキサバンに変更、その1か月後より下痢を認め、当科を受診した。感染性腸炎や薬剤性腸炎の可能性を考え対症療法を行い、アピキサバンをリバーロキサバンに変更するも症状の改善を認めず、徐々に低カリウム血症が出現し入院した。下部消化器内視鏡で浮腫状粘膜と生検で大腸上皮下にcollagen bandの沈着を認め、collagenous colitis(CC)と診断した。内服時期と一致することから新規経口抗凝固薬(NOAC)を原因薬剤と考え、ワルファリンに変更したところ、下痢は速やかに改善した。

監修者コメント

Collagenous colitis (CC)は慢性の水様性下痢と大腸上皮直下の膠原線維帯の肥厚を特徴とする疾患である。原因薬剤としてプロトンポンプ阻害薬やNSAIDsなどが報告されているが、NOACによるCCの発症はこれまでに報告がなく、稀な一例と言える。NOACはワルファリンと異なり、細かな投与量の調節が必要なく、今後も内服患者が増加することが予測される。NOAC投与中に慢性の水様性下痢を認めた場合にはCCの合併も考慮する必要がある。

著者(発表者)
池本珠莉ほか
所属施設名
広島厚生連農業協同組合連合尾道総合病院消化器内科ほか
表題(演題)
新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulants;NOAC)が原因と考えられたcollagenous colitisの1例
雑誌名(学会名)
日本消化器病学会雑誌 114(3) 456-463 (2017.3)

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