せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > リファンピシンによる免疫学的血小板減少

リファンピシンによる免疫学的血小板減少

2017年7月掲載

薬剤 リファンピシン抗生物質製剤
副作用 血小板減少
概要 89歳、男性。来院3週間前より下肢浮腫が出現し徐々に増悪。2週間前からは労作時呼吸困難も自覚し、来院当日は自力での移動が困難となり救急搬送された。胸腹部CTで胸腹水(ADA高値)を認め、T-SPOTも陽性、最終的に胸腹水培養より結核性胸腹膜炎と診断された。
リファンピシン、イソニアジド、エタンブトールによる抗結核治療を開始したが、内服翌日より、血小板数が15万より4,000/μLへ急激に低下した。全薬剤を中止し、血小板輸血を実施、約1週間で血小板数の回復を認めた。PA-IgG上昇、骨髄検査において活発な血小板産生を反映する膜変化を認め、リファンピシン以外の抗結核薬を順次再開後も血小板減少再燃がないことから、リファンピシンによる免疫学的薬剤性血小板減少症と診断した。リファンピシンを除いた上記2剤とピラジナミド、レボフロキサシンによる抗結核治療を行い、治療経過は良好であった。

監修者コメント

リファンピシンは結核の治療薬として使用されているが、副作用として血小板減少が報告されている。本薬剤による血小板減少は、骨髄障害で徐々に生じることが多く、本症例のように免疫学的機序によって血小板破壊を来し、急激に血小板減少を来すことは稀である。リファンピシン投与開始時は、頻度は少ないものの、急激な血小板減少を来す可能性があるため、慎重に経過観察する必要がある。

著者(発表者)
鈴木智大ほか
所属施設名
兵庫県立柏原病院内科ほか
表題(演題)
リファンピシンによる免疫学的薬剤性血小板減少を来した結核性胸腹膜炎の1例
雑誌名(学会名)
第215回 日本内科学会近畿地方会 102 (2017)
第215回 日本内科学会近畿地方会 (2017.3.25)

新着文献 一覧

PAGETOP