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プロピルチオウラシルによるANCA関連血管炎、鼻中隔穿孔

2017年6月掲載

薬剤 プロピルチオウラシルホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 ANCA関連血管炎、鼻中隔穿孔
概要 20歳代、女性。Basedow病に対してプロピルチオウラシル(PTU)を内服中、咽頭痛、微熱が出現、前医耳鼻咽喉科で鼻中隔穿孔を指摘された。血液検査にてMPO-ANCA陽性であり、ANCA関連血管炎が疑われ当院紹介となった。組織生検を行ったが、炎症細胞の浸潤のみで肉芽腫性変化や悪性所見を認めず、PTUによる薬剤性も疑われ、PTU内服を中止した。上気道炎以外に血管炎症状は認めず、ANCA値は減少傾向を示したが病変が破壊性であり免疫抑制療法を行った。治療後ANCAは著減した。

監修者コメント

抗甲状腺剤であるプロピルチオウラシルは甲状腺機能亢進症の治療薬として用いられている。重大な副作用の1つとして、添付文書にも抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎症候群が記載されている。薬剤誘発性ANCA関連血管炎では皮疹、発熱、関節痛、筋痛、倦怠感などの他、肺胞出血や急性糸球体腎炎を発症することが報告されているが、本症例のような鼻中隔穿孔の報告は稀であり、興味深い1例である。

著者(発表者)
石井悠翔ほか
所属施設名
東北大学病院血液免疫科ほか
表題(演題)
Basedow病加療中に鼻中隔穿孔を呈したANCA関連血管炎の1例
雑誌名(学会名)
日本内科学会東北地方会会誌 29(1) 48 (2017)
第210回 日本内科学会東北地方会(2017.2.18)

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