アリピプラゾールによる遅発性ジストニア
2013年7月掲載
薬剤 | アリピプラゾール中枢神経用薬 |
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副作用 | 遅発性ジストニア |
概要 | 54歳、男性。12年前にうつ病と診断され、その後、入退院を繰り返していた。3年前に軽躁状態が出現し、双極Ⅱ型障害と診断名が変更された。1年前に他院にてAripiprazoleの投与が開始され、5ヵ月後に当院に入院となった。当院入院時の向精神薬はAripiprazole、Levomepromazine、Sodium valproate、Clonazepam、Zolpidemであった。入院時は軽躁状態であったが、2ヵ月後より抑うつ状態が出現したため、Duloxetineを追加した。3ヵ月後より体幹が右側弯を呈するジストニアが出現し、次第に増悪していった。遅発性ジストニアと診断し、Biperidenの投与、Clonazepamを増量したが改善はみられなった。翌月にAripiprazoleを中止したところ、遅発性ジストニアは改善をみせ始め、中止1ヵ月後に消失した。 |
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現在、統合失調症や双極性障害の薬物療法は錐体外路症状の発現の少ない第二世代の抗精神病薬が主流となっている。本症例では、双極Ⅱ型障害患者に対してAripiprazole(APZ)を投与したこところ遅発性ジストニアを認め、同薬剤の中止後に症状が消失したことから、APZの副作用による遅発性ジストニアが疑われた。遅発性ジストニアに対しては確立した治療法が存在しないため、抗精神病薬の副作用として注意を要する。錐体外路症状の発現の少ないとされる第二世代の抗精神病薬でも、本症例のように遅発性ジストニアを含めた錐体外路症状が出現する可能性があるため、投与時には慎重に経過を観察する必要がある。
- 著者(発表者)
- 山本暢朋
- 所属施設名
- 公益財団法人神経研究所附属晴和病院
- 表題(演題)
- Aripiprazole投与後に遅発性ジストニアが出現した双極Ⅱ型障害患者の1例
- 雑誌名(学会名)
- 精神医学 55(4) 371-374 (2013.4)
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