トラネキサム酸による痙攣
2017年6月掲載
薬剤 | トラネキサム酸血液・体液用薬アレルギー用薬 |
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副作用 | 全身性強直間代性痙攣 |
概要 | 心臓血管手術後の透析患者において、トラネキサム酸の関与が推測される痙攣を発症した2症例を認めた。慢性糸球体腎炎により13年前より透析が導入されていた58歳の男性。急性A型大動脈解離に対する上行大動脈置換術後、経過観察されていたが、左室収縮機能低下と大動脈弁逆流症に対し、人工心肺下に大動脈弁置換術が行われた。もう一人は高血圧性腎硬化症により24年前より透析が導入されていた71歳の男性。大動脈弁狭窄症に対し、大動脈弁置換術が行われた。両症例とも術操作は問題なく終了し、人工心肺からスムーズに離脱した。トラネキサム酸は人工心肺中に4g、離脱時に2g静注され、術後さらに2g投与された。術後、全身性強直間代性痙攣が出現したが、ジアゼパム静注により消失した。直ちに頭蓋内病変や電解質異常などを疑い精査したが、明らかな異常は認めなかった。頭部CTや脳波検査などでも異常所見は見られず、神経学的後遺症なく退院となった。 |
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抗線溶剤であるトラネキサム酸(トランサミン®)は、手術時の止血目的などに広く使用されている。本文献では、人工心肺を用いた開心術の際に投与したトラネキサム酸による痙攣が疑われた2症例を報告している。2症例とも透析患者である。トラネキサム酸は腎排泄であるため、腎機能低下症例、特に透析患者において痙攣が発症しやすくなると考えられる。添付文書も2013年に改訂され、透析患者において痙攣の発症に注意するよう追記された。本薬剤は手術時に高用量を投与されることがあるが、特に腎機能低下を認める症例では、痙攣のリスクとなるため、減量を考慮する必要がある。
- 著者(発表者)
- 河島愛莉奈ほか
- 所属施設名
- 堺市立総合医療センター麻酔科ほか
- 表題(演題)
- 開心術後にトラネキサム酸が原因と考えられる痙攣を発症した透析患者の2症例
- 雑誌名(学会名)
- 麻酔 66(3) 306-308 (2017.3)
第61回 日本麻酔科学会関西支部学術集会 (2015)
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