せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > タクロリムスによる尋常性天疱瘡

タクロリムスによる尋常性天疱瘡

2017年6月掲載

薬剤 タクロリムスその他の代謝性医薬品
副作用 尋常性天疱瘡
概要 47歳、男性。潰瘍性大腸炎を発症、メサラジン、プレドニゾロン、タクロリムス、インフリキシマブで治療を行っていたが、臨床的寛解を維持できずにいた。4年後にタクロリムス再導入目的に入院。臨床症状はやや改善したものの、第40病日から口内炎・咽頭炎が出現。徐々に悪化し、口腔からの細菌培養は陰性、抗デスモグレイン3抗体が700台と高値、口腔粘膜生検では表層の重層扁平上皮が剥脱し、基底層の裂隙の中に棘融解像を認めたことから尋常性天疱瘡と診断した。タクロリムスの内服を中止しプレドニゾロン(60mg/日)の投与を開始したところ、症状は速やかに改善、慢性持続型の潰瘍性大腸炎の症状も改善傾向を示した。

監修者コメント

本文献では、難治性の潰瘍性大腸炎に対してタクロリムス(プログラフ®)を投与したところ、尋常性天疱瘡を発症した症例を報告している。尋常性天疱瘡は、皮膚や粘膜に水疱やびらんを生じる自己免疫疾患であり、潰瘍性大腸炎の腸管外合併症としては稀である。また、尋常性天疱瘡の治療にカルシニューリン阻害薬が用いられているが、本症例ではカルシニューリン阻害薬であるタクロリムスの投与により尋常性天疱瘡を発症しており、示唆に富む1例といえる。

著者(発表者)
東田真美子ほか
所属施設名
大阪医科大学附属病院第二内科ほか
表題(演題)
Tacrolimus投与中に尋常性天疱瘡を発症した難治性潰瘍性大腸炎の1例
雑誌名(学会名)
日本消化器病学会近畿支部 第106回 例会 プログラム・抄録集 75 (2017)
第106回 日本消化器病学会近畿支部例会 (2017.2.25)

新着文献 一覧

PAGETOP