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プロトンポンプインヒビターによる鉄欠乏性貧血

2017年5月掲載

薬剤 プロトンポンプインヒビターその他
副作用 鉄欠乏性貧血
概要 52歳、米国人男性。逆流性食道炎に対してX-15年頃よりプロトンポンプインヒビター(PPI)を継続内服していた。X-5年から毎年健康診断を受けており、便潜血は常に陰性であったが、X年の健康診断で小球性貧血を認め、当院血液内科受診となった。上下部内視鏡検査、小腸カプセル内視鏡検査施行したが出血源を認めず、胃粘膜の萎縮もなく、ヘリコバクターピロリも陰性であった。血清ガストリン値は上昇しており、PPIの胃酸分泌低下による鉄吸収低下に起因した鉄欠乏性貧血と診断した。経口鉄剤を開始し、貧血の改善を得られた。

監修者コメント

PPIは消化性潰瘍や逆流性食道炎に対する治療薬として日常診療において広く使用されているが、長期的な副作用については不明な点が多い。本文献では、PPIを15年間長期内服した後に鉄欠乏性貧血を発症した症例を報告している。PPIによる胃酸分泌低下に伴う鉄吸収の低下が原因として考えられた。今後もPPIを長期間内服する症例が増加することが予想されるが、副作用として鉄欠乏性貧血に注意し、定期的な経過観察を行う必要がある。

著者(発表者)
今井亮介ほか
所属施設名
聖路加国際病院内科ほか
表題(演題)
プロトンポンプインヒビターの長期投与により鉄欠乏性貧血を呈した1例
雑誌名(学会名)
第630回 日本内科学会関東地方会 40 (2017)
第630回 日本内科学会関東地方会 (2017.2.11)

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