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エタネルセプトによる多発性筋炎

2013年6月掲載

薬剤 エタネルセプトその他の代謝性医薬品
副作用 多発性筋炎
概要 56歳、女性。11年前から関節リウマチに罹患。メトトレキサート、タクロリムスにて加療していたが、疾患活動性が高いため、エタネルセプトを投与開始した。その後、両肩挙上困難感が出現。CK1113IU/L、アルドラーゼ18.6IU/L、抗Jo-1抗体陽性であり、間質性肺炎や心筋酵素上昇が認められた。筋炎合併が疑われたため、精査目的にて入院。筋MRIにて両大腿広筋外側にわずかに炎症性変化を認め、針筋電図にて右三角筋より豊富な安静時電位を含んだlow amplitude、short durationを示すMUPを主体とした筋原性変化を認めた。筋生検において筋線維の大小不同、円形化、小角化線維の散在、壊死線維、間質の増生、血管周囲に軽度炎症性細胞浸潤を認めたことより多発性筋炎と診断。PSL40mg/日とタクロリムスにて加療を開始し、奏効した。

監修者コメント

近年、活動性の高い関節リウマチに対して、生物学的製剤である抗TNF-α製剤が高い効果をあげている。本症例では活動性の高い関節リウマチに対してエタネルセプトを導入したところ、両肩挙上困難が出現し、CK値上昇、抗Jo-1抗体陽性や筋生検の結果などから、多発性筋炎と診断された。抗TNF-α製剤の副作用として全身性エリテマトーデスを含む自己免疫疾患を引き起こすことは報告されているが、多発性筋炎を誘発したとの報告は稀であり、今後もこのような副作用を念頭におく必要がある。

著者(発表者)
井上晴子ほか
所属施設名
東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センター
表題(演題)
エタネルセプト使用中に多発性筋炎を発症した関節リウマチの1例
雑誌名(学会名)
第57回 日本リウマチ学会総会・学術集会、第22回 国際リウマチシンポジウム プログラム・抄録集 496 (2013)
第57回 日本リウマチ学会総会・学術集会、第22回 国際リウマチシンポジウム (2013.4.18-20)

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