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メトトレキサートによる特発性後腹膜線維症

2017年3月掲載

薬剤 メトトレキサートその他の代謝性医薬品
副作用 特発性後腹膜線維症
概要 60歳代、男性。関節リウマチに対しメトトレキサート(MTX)とインフリキシマブ(IFX)の併用で寛解となっていた。その後、右下肢のむくみと尿路感染が生じ、腹部CTで大動脈周囲の軟部影ならびに左水腎症を認めた。後腹膜線維症(RPF)やMTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)が疑われ、生検組織の病理像では線維性基質や脂肪組織を背景にTリンパ球・Bリンパ球の浸潤を認めたものの、IgG4陽性細胞・EBERは陰性、遺伝子再構成を含む検索でもクロナリティなく、特発性RPFと診断された。MTXとIFXを中止後、無治療で病変は退縮、高値だった可溶性IL-2レセプターも正常化した。

監修者コメント

MTX(リウマトレックス®)は関節リウマチの治療で最も使用されており、第一選択薬として用いられている。一方で、MTXの投与により悪性リンパ腫などを発症した症例が数多く報告されており、MTX-LPDとして注目されている。本症例ではMTXの投与後に特発性後腹膜線維症を発症したが、可溶性IL-2レセプターが高値であり、生検組織にてリンパ球浸潤を認め、MTXの中止にて自然退縮を認めたことなどから、MTX-LPDに類似した病態である可能性が考えられた。

著者(発表者)
大久保陽介ほか
所属施設名
札幌医科大学医学部免疫・リウマチ内科学
表題(演題)
MTX中止により後腹膜線維症の自然退縮を認めた関節リウマチの1例
雑誌名(学会名)
第26回 日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会 抄録集
第26回 日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会 (2016.11.26-27)

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