エベロリムスによるインスリン分泌枯渇
2013年6月掲載
薬剤 | エベロリムス腫瘍用薬 |
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副作用 | インスリン分泌枯渇 |
概要 | 54歳、男性。非機能性膵内分泌腫瘍に対し、膵尾部切除術が施行された。3年4ヵ月後の定期CTにて肝内に多発するSOLを指摘、膵内分泌腫瘍の多発性肝転移と診断され、TAEが施行された。翌月のHbA1c (NGSP)6.7%であった。その3ヵ月後からmTOR阻害剤であるエベロリムス10mg内服開始。開始後5ヵ月後に随時血糖465mg/dL、HbA1c15.7%を認めたため、当科紹介入院となった。抗GAD抗体陰性、インスリン分泌能はCRPindex:0.25、尿中CRP1.75μg/dayと低値であり、グルカゴン負荷試験、食事負荷でもインスリン分泌は低値であった。血糖コントロール悪化の時期から、エベロリムス内服がインスリン分泌枯渇に関与したと考えられる。 |
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mTOR阻害剤は腎細胞癌や膵神経内分泌腫瘍などに対する新たな分子標的治療薬として注目されている。本症例では、膵内分泌腫瘍の多発性肝転移に対してエベロリムスを投与したところ、血糖値およびHbA1cの急激な悪化を認めた。また、CPR index、グルカゴン負荷試験、食事負荷試験にてインスリン分泌が低値であったことから、エベロリムス内服がインスリン分泌枯渇に関与した可能性が考えられた。エベロリムスの添付文書によれば、本剤による高血糖あるいは糖尿病の発症・増悪が記載されているが、インスリン分泌の枯渇についての記載はなく、特に耐糖能異常のある患者に投与する際には注意が必要である。
- 著者(発表者)
- 岡田貴司ほか
- 所属施設名
- 滋賀大学医学部糖尿病腎臓神経内科ほか
- 表題(演題)
- 膵内分泌腫瘍の多発性肝転移に対するエベロリムス内服後にインスリン分泌が枯渇した1例
- 雑誌名(学会名)
- 糖尿病 56(2) 120 (2013.2)
第49回 日本糖尿病学会近畿地方会 (2012.11.17)
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