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ロキソプロフェンナトリウムによるReye症候群

2017年1月掲載

薬剤 ロキソプロフェンナトリウム中枢神経用薬
副作用 Reye症候群
概要 43歳、女性。発熱等の感冒症状が出現した翌日、関節痛と発熱があり、ロキソプロフェンナトリウムを内服した。他院受診時は興奮状態であった。インフルエンザ迅速試験にてA群(+)であり、ラニナミビル吸入を処方された。その後、興奮状態であったため精神科病棟へ転院した。血液検査にて肝障害を認め、当院救急外来へ転院搬送となり、腹部造影CTなどによる精査を行ったが、明らかな肝障害の原因は特定されなかった。インフルエンザ発症時にNSAIDsを内服し、著明な肝障害と精神症状を認めたことからReye症候群が疑われた。補液のみで経過観察を行ったところ、肝障害の改善を認めた。

監修者コメント

Reye症候群は、インフルエンザや水痘などの感染後、特にアスピリンを服用している小児に急性脳症、肝臓の脂肪浸潤を引き起こす原因不明で稀な疾患である。本文献では、インフルエンザ発症時にNSAIDsであるロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®)を内服し、著明な肝障害と精神症状を認めたことからReye症候群が疑われた症例を報告している。Reye症候群の成人での発症は非常に稀であるが、小児例では死亡率の高い疾患であり、成人例でも厳重な経過観察が必要であると考えられる。

著者(発表者)
渡辺浩二ほか
所属施設名
済生会横浜市東部病院消化器内科
表題(演題)
成人発症のReye症候群が疑われた1例
雑誌名(学会名)
第627回 日本内科学会関東地方会 25 (2016)
第627回 日本内科学会関東地方会 (2016/10/8)

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