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ミノドロン酸水和物による口腔粘膜潰瘍

2017年1月掲載

薬剤 ミノドロン酸水和物その他の代謝性医薬品
副作用 口腔粘膜潰瘍
概要 81歳、女性。認知症と右大腿骨大転子部骨折を有し、嚥下障害も認めていた。定期的に嚥下内視鏡検査を実施し、指導を継続していたが、家族の都合等で中断した。その後、口腔内に潰瘍が生じ、カンジダ症を発症した。口腔ケアや義歯の新製・調整を行うも、頻回に潰瘍を繰り返すようになった。再発時、家族より整形外科の変更とミノドロン酸水和物(ボノテオ®)の内服を聴取、さらに錠剤が大きく飲めず口腔内で溶かしてから飲み込むことが判明し、ビスホスホネート製剤に起因する重度口腔粘膜潰瘍であることが判明し、再発を防止することができた。

監修者コメント

ビスホスホネート製剤は破骨細胞の活動を阻害し、骨の吸収を防ぐ薬剤であり、骨粗鬆症などの予防や治療に広く用いられている。ビスホスホネート製剤による副作用として顎骨壊死は良く知られているが、本症例のような口腔粘膜潰瘍の報告は稀である。本症例では、ミノドロン酸水和物(ボノテオ®)の錠剤が大きくて内服出来ないため、口腔内で溶かしてから飲み込んでいたことが潰瘍の原因になったと考えられた。嚥下障害を有する場合、口腔内に錠剤が停滞するケースが多く、粘膜潰瘍の副作用がある内服薬は処方を変更するなどの配慮が必要である。

著者(発表者)
吉野ひろみほか
所属施設名
上松川診療所歯科口腔外科
表題(演題)
ビスホスホネート製剤による重度口腔粘膜潰瘍を生じた嚥下障害患者
雑誌名(学会名)
第22回 日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会 プログラム・抄録集 640 (2016)
第22回 日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会 (2016.9.23-24)

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