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ジヒドロコデインリン酸塩(パブロン®Sゴールド)によるStevens-Johnson症候群

2017年1月掲載

薬剤 ジヒドロコデインリン酸塩一般用医薬品
副作用 Stevens-Johnson症候群
概要 40歳代、男性。嘔気と発熱に対しパブロン®Sゴールドを3錠(1回分)内服した翌日から、搔痒を伴う紅斑が出現した。眼球結膜および眼瞼結膜の充血、角膜びらんを認め、パッチテストの結果、パブロン®Sゴールドとジヒドロコデインリン酸塩ともに陽性であった。ジヒドロコデインリン酸塩による薬剤誘発性リンパ球刺激試験(DLST)ではstimulation index(SI)が319%であったため、パブロン®Sゴールドに含まれるジヒドロコデインリン酸塩によるStevens-Johnson症候群と診断した。多くの市販薬にジヒドロコデインリン酸塩や類似物質であるコデインリン酸塩水和物が含まれていること、処方薬でも鎮咳薬として処方されうることがあることを説明し、服用を避けるよう指導した。

監修者コメント

Stevens-Johnson症候群は、高熱や全身倦怠感などの症状を伴って、口唇・口腔、眼、外陰部などを含む全身に紅斑・びらん・水疱が多発し、表皮の壊死性障害を認める疾患である。原因としては薬剤性が多いが、ウイルス感染などに伴い発症することもある。ジヒドロコデインリン酸塩は中枢性の鎮咳薬として広く使用され、感冒薬など多くの市販薬にも含有されている。このような市販の感冒薬は、医師の処方なしに容易に入手できる一方で、本症例のように重症薬疹が生じる可能性があることに注意する必要がある。

著者(発表者)
羽田孝司ほか
所属施設名
兵庫医科大学皮膚科学教室
表題(演題)
ジヒドロコデインリン酸塩によるStevens-Johnson症候群の1例
雑誌名(学会名)
皮膚の科学 15(3) 125-129 (2016.6)
第64回 日本アレルギー学会学術大会

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