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ベンダムスチン塩酸塩によるB型肝炎ウイルス活性化

2016年12月掲載

薬剤 ベンダムスチン塩酸塩腫瘍用薬
副作用
概要 ベンダムスチン塩酸塩によるB型肝炎ウイルス(HSV)再活性化症例2例についての報告。うち1例について経過を記述する。
63歳、男性。リンパ形質細胞性リンパ腫再発に対して、ベンダムスチン塩酸塩を投与し、完全奏効が得られた。治療前のHBs抗原は陰性、HBc抗体は陽性、HBs抗体は陰性であり、HBV既往感染と判断されていた。3コース目開始時の採血でHBV DNA陽性となったため、エンテカビルの投与を開始した。開始時の血液検査ではHBs抗原の陽転がみられ、HBV DNAはさらに上昇していたが、肝炎の発症はみられなかった。その後、肝炎が発症することなく、HBV DNAの陰性化、HBs抗原の陰性化、HBs抗体が陽性化した。

監修者コメント

本文献では、抗悪性腫瘍剤であるベンダムスチン塩酸塩(トレアキシン®)の単独投与により、既往感染からのHBV再活性化をきたした悪性リンパ腫2症例を報告している。ベンダムスチン塩酸塩は、リツキシマブとの併用療法においてHBV再活性化をきたす薬剤として知られているが、同薬剤の単独投与でのHBV再活性化の報告はなく、稀な症例といえる。化学療法に伴い発症するHBV再活性化の結果生じたde novo B型肝炎は予後不良である。HBV既往感染者に対して化学療法を行う際には、ガイドラインに従い、HBV DNA量のモニタリングを適切に行うことが重要である。

著者(発表者)
平木嘉樹ほか
所属施設名
北九州市立医療センター内科ほか
表題(演題)
ベンダムスチン塩酸塩単独投与にて既往感染からのB型肝炎ウイルス再活性化をきたした悪性リンパ腫の2症例
雑誌名(学会名)
日本消化器病学会雑誌 113(9) 1582-1587 (2016.9)

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