トリフルリジン・チピラシル塩酸塩による血球貪食症候群
2016年12月掲載
薬剤 | トリフルリジン・チピラシル塩酸塩腫瘍用薬 |
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副作用 | 血球貪食症候群 |
概要 | 60歳代、女性。横行結腸癌に対して結腸切除術、術後補助化学療法が施行された。肝、吻合部再発のため化学療法が施行された後、TAS102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合錠)が開始された。13コース目に全身倦怠感、食欲不振、発熱、血小板減少、貧血、異型リンパ球出現を認め、入院となった。骨髄検査にて異型リンパ球増加、マクロファージによる血球貪食像がみられ、血球貪食症候群と診断した。ステロイドパルス療法、血小板輸血、赤血球輸血により軽快した。病理学的にはEBV再活性が示唆され、EBV関連血球貪食症候群と診断した。 |
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血球貧食症候群とは、感染症などが誘因となり引き起こされる免疫異常により、血液中のサイトカインが増加することでマクロファージが活性化し、自らの血球(特に血小板)を貧食する病態である。本症例では、再発大腸癌に対して、TAS102(ロンサーフ®配合錠)を投与したところ、EBV関連血球貧食症候群を発症した。化学療法中に発症する血球貪食症候群は稀であるが、経過中に血小板減少、貧血、異型リンパ球出現などを認めた場合には、本合併症も念頭に置き、適切な対応を行う必要がある。
- 著者(発表者)
- 二日市有花ほか
- 所属施設名
- 富山大学附属病院第三内科ほか
- 表題(演題)
- TAS102療法中に発症した血球貪食症候群の1例
- 雑誌名(学会名)
- 第54回 日本癌治療学会学術集会 抄録集 P74-3 (2016)
第54回 日本癌治療学会学術集会 (2016.10.20-22)
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