メトトレキサートによる汎血球減少症
2016年11月掲載
薬剤 | メトトレキサートその他の代謝性医薬品 |
---|---|
副作用 | 汎血球減少症 |
概要 | 77歳、女性。関節リウマチに対してメトトレキサート(MTX)を内服中であった。当科受診1週間前から口腔内の疼痛のため食事摂取不良となり、体幹に皮疹が出現し、口内炎、背部のびらん、食欲低下を主訴に当科を受診した。初診時、白血球数、血小板数の減少を認め、その後、赤血球数、ヘモグロビン値の低下も認めた。MTXを中止し、葉酸製剤のレスキューとしてホリナートカルシウムとG-CSF製剤を投与した。入院3日目に白血球数が回復し、その後、口腔粘膜、皮膚症状も改善し、入院8日目に退院した。 |
---|
MTX(リウマトレックス®)は関節リウマチのアンカードラッグと呼ばれ、第一選択薬剤として使用されている。本症例では、関節リウマチに対してMTXを長期間内服後、口内炎と体幹の皮膚びらんが出現し、汎血球減少を認めた。MTXは骨髄幹細胞よりも粘膜上皮細胞に蓄積しやすいという性質があるため、口内炎の出現が骨髄抑制の予測因子となる可能性がある。また、MTX投与中には、比較的稀ではあるが、体幹にもびらんや潰瘍が出現することがあり、注意が必要である。
- 著者(発表者)
- 光井聖子ほか
- 所属施設名
- 岡山市民病院皮膚科ほか
- 表題(演題)
- メトトレキサート投与中に口内炎と皮膚びらんを生じ汎血球減少を伴った1例
- 雑誌名(学会名)
- 西日本皮膚科 78(4) 391-394 (2016.8)
監修者コメント