ペグインターフェロンアルファ-2bによる無痛性甲状腺炎
2016年11月掲載
薬剤 | ペグインターフェロンアルファ-2b生物学的製剤 |
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副作用 | 無痛性甲状腺炎 |
概要 | 58歳、女性。C型慢性肝炎に対して、ペグインターフェロンアルファ-2b、リバビリン、シメプレビルによる3剤併用療法を開始した。治療24週目より動悸、全身倦怠感が出現し、治療前にはみられなかった甲状腺機能亢進症を認めた。発熱、甲状腺圧痛、眼症状を認めず、甲状腺自己抗体陰性、甲状腺エコーで甲状腺腫大、血流増加を認めなかったことから、無痛性甲状腺炎と診断した。β受容体拮抗薬による対症療法で症状は軽快した。 |
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無痛性甲状腺炎は、一般的に橋本病、バセドウ病などの自己免疫性甲状腺疾患に出産やIFNαを含む薬剤などの誘因が加わることで発症することが多く、自己免疫性変化が関与しているものと考えられている。本症例では、C型慢性肝炎に対する3剤併用IFN治療中に無痛性甲状腺炎をきたし、軽快後にサイログロブリン抗体が陽転化した。IFN療法に合併した無痛性甲状腺炎の回復期に自己抗体が陽性化した点については、その臨床的意義は不明であり、今後のさらなる検討が必要である。
- 著者(発表者)
- 神田仁ほか
- 所属施設名
- 東葛病院消化器内科ほか
- 表題(演題)
- C型慢性肝炎に対する3剤併用IFN治療中に無痛性甲状腺炎をきたし,軽快後にサイログロブリン抗体が陽転化した1例
- 雑誌名(学会名)
- 内科 118(2) 321-324 (2016.8)
第337回 日本消化器病学会関東地方会
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