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シベンゾリンによる低血糖

2016年11月掲載

薬剤 シベンゾリン循環器官用剤
副作用 低血糖
概要 63歳、女性。2型糖尿病にて外来加療中であった。インスリングラルギン注とリラグルチド注を使用していたが、低血糖の既往はなかった。呼吸困難、浮腫が出現し、当院を受診した。心電図検査にて心房細動が認められ、除細動を施行し洞調律となり、精査目的で入院した。入院時の検査所見で糖尿病性腎症による高度腎機能障害が認められた。入院3日目から心房細動の再発予防を目的にシベンゾリンの投与を開始した。シベンゾリン投与開始4日目の血中トラフ濃度は治療域濃度であったが、徐々に血糖値低下が認められたため、インスリングラルギン注とリラグルチド注を中止した。その後、シベンゾリンによる低血糖を危惧し、血糖降下作用のないピルシカイニドへ変更した。ピルシカイニドに変更後、低血糖の発現、心房細動の再発はなかった。

監修者コメント

シベンゾリン(シベノール®)は上室性不整脈および心室性不整脈に対し広く用いられている薬剤であるが、重大な副作用の1つに低血糖がある。本症例では、高度腎機能障害に応じたシベンゾリンの投与量設定を行い、治療域濃度であったにもかかわらず、低血糖が発現した。本薬剤の添付文書にも、高齢者を含む腎機能障害者には慎重に観察しながら投与すべきであることが記載されている。シベンゾリンと糖尿病治療薬を併用する際には、その血中濃度にかかわらず、低血糖発現に対する慎重な経過観察が必要である。

著者(発表者)
小田真司ほか
所属施設名
一般財団法人永頼会松山市民病院薬剤部
表題(演題)
治療域濃度のシベンゾリンにて低血糖が発現した1症例
雑誌名(学会名)
日本病院薬剤師会雑誌 52(9) 1136-1139 (2016.9)

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